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会社売却をすると株主はどうなる?

会社を売却をすると株主はどうなる?

会社売却には、事業譲渡や株式譲渡といった方法があります。

会社売却の方法のうち、株式譲渡によれば、会社のオーナーである株主(前株主)は、自分が所有する株式を譲渡して株主ではなくなるか、保有割合が減少しますが、影響はそれだけなのでしょうか?

また、事業譲渡の場合、株主にはどんな影響があるのでしょうか?

とても気になるところですよね?

今回の記事では、会社売却によって前株主の地位や立場、さらにはその後の仕事や生活などへの影響について解説してまいります。

 

株式譲渡による会社売却では株主の地位はどう変わる?

株式譲渡による会社売却の場合、株式を譲渡した株主は、保有している株式をどれだけ譲渡するかによって、地位そのものと会社への支配力が変わってきます。

保有している株式のすべてを譲渡することになれば、それによって株主の地位を失うことになりますので、株主総会に参加する権利が失われ、会社経営に参加することができなくなります。

また、会社の利益を分配するための配当金を受け取る権利(配当金請求権)や、会社が清算するような場合に、会社に残された財産を請求できる権利(残余財産請求権)といった経済的利益を受ける権利が無くなります。

保有している株式の一部を譲渡する場合は、株主としての地位は無くならないので、株主総会に参加する権利や、配当金請求権、残余財産請求権は無くなりません。

ただし、譲渡する株式に数に応じて、その権利の影響度が少なくなりますから、株主総会での議決権は減りますし、経済的利益を受ける権利も少なくなります。

 

事業譲渡による会社売却における株主への影響は?

事業譲渡による会社売却の場合、事業譲渡の規模によっては、会社の経営そのものが変わることがあり、それにより株主の利益が損なわれる可能性があります。

そのため、会社法に基づいて株主の権利を確保するための手続きが定められています。

 

事業譲渡による会社売却と株主への影響①―譲渡会社の場合―

事業譲渡によって会社の事業が第三者に譲渡されると、会社にとって重要な資産や権利が第三者の手に渡るため、会社の株主としての利益が損なわれる可能性があります。

このため、事業譲渡によって影響を受ける株主の利益を守るため、会社法により、株主を守るための手続きが定められています。

 

事業を譲渡する会社(譲渡会社)では、譲渡する対象となる事業が、その会社の事業の全部の場合、または、事業の重要な一部であって譲渡対象資産が譲渡会社の総資産の5分の1超の場合は、事業譲渡の効力発生日(譲渡日)の前日までに、譲渡会社では株主総会の特別決議が必要となります。

 

これは、大規模な事情譲渡になると、その後の会社経営に大きな影響を及ぼすので、株主の利益が損なわれる可能性が高いため、株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権数の2/3以上をもって事業譲渡を承認することとしているのです。

 

事業譲渡による会社売却と株主への影響②―譲受会社の場合―

事業を譲り受ける会社(譲受会社)では、譲り受ける事業が譲渡会社の事業の全部である場合で、譲り受ける財産が譲受会社の純資産の5分の1超である場合、株主総会の特別決議が必要となります。

 

これは、大量な財産を譲り受けることで、新たな事業を行うことになるなど、会社の経営そのものが変更になる可能性があるため、株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権数の2/3以上をもって事業の譲受けを承認することとしています。

 

事業譲渡に反対する株主への対応

事業譲渡をすると会社の経営方針が変わる可能性があります。そのため、株主の中には事業譲渡に反対する株主も出てくるでしょう。

そのため、会社法では、事前に事業譲渡に反対の意思を表明した譲渡会社および譲受会社の株主について、事業譲渡の効力発生日の20日前から前日までの期間に限り、それぞれの会社に対して公正な価格で保有している株式の買取りを請求できるという権利を認めています。

 

会社売却後の前株主(売主)が受ける影響①―メリット

次に、株式譲渡によって、株式のすべてを譲渡した株主(前株主)が、株式譲渡によって受ける影響のうち、メリットについて説明しましょう。
  • 株式の売却益を手に入れられる
  • 事業承継によって会社を存続させられる
  • 売却先との関係が強まりシナジー効果が期待できる
  • (経営者の場合)会社の負債から解放される
  •  第二の人生をスタートできる
「株式の売却益を手に入れられる」ことから、手に入れた潤沢な資金を元手に、事業者であれば新たな事業に乗り出して再スタートできますし、あるいは引退して第二の人生をスタートさせることもできるようになります。

「事業承継によって会社を存続させられる」とは、中小企業の多くが直面している課題として、経営者の高齢化と後継者不足の問題があり、このため黒字でありながらも廃業を考える中小企業経営者がたくさんいます。こうした悲劇を防ぐうえでも、会社の株式を譲渡して、その経営を後継者に託することができるようになります。

「売却先との関係が強まりシナジー効果が期待できる」とは、その会社を売却することで、売却先との関係が強まり、営業・販売活動での連携や、仕入先等の購買活動の統合など事業上の関係が強まり、これによってさまざまなシナジー効果が得られ、事業の成長が実現されたり、生産性が向上して会社の発展につながったりするメリットがあります。

「(経営者の場合)会社の負債から解放される」とは、中小企業経営者のほとんどが会社経営のため、銀行からの借入や賃貸物件の個人保証や、不動産物件があれば自分の家を担保として提供しているのが通常です。会社売却によって株主でなくなることで、これらの保証や担保設定から解放されるのが普通です。

「第二の人生をスタートできる」とは、潤沢な資金を元手に、新たな人生にチャレンジすることができます。引退してリゾート地で余生を過ごしたり、ボランティアに人生を掛けたり、個人で商売を始めたりできますね。

 

会社売却後の前株主(売主)が受ける影響②―デメリット

こちらでは、株式譲渡によって、前株主が、株式譲渡によって受ける影響のうち、デメリットについて説明しましょう。
  • ロックアップによる拘束
  • 事業活動に一定の制限
  • 社会的地位の喪失
「ロックアップによる拘束」とは、会社売却においては、取引の対象となる会社のキーマンが一定期間会社に拘束される条件がつけられるのが通常です。株主の中でも、現社長、営業面や研究開発面の中心人物であると、会社売却後の会社経営、営業、研究開発などの機能とレベルの維持のためになされる措置で、会社売却後も会社との縁がしばらく残ることになります。

「事業活動に一定の制限」とは、競業避止義務というもので、事業譲渡の場合、会社法の定めにより、事業譲渡をした会社は、同一の市区町村とその隣接市区町村の区域内では事業譲渡の日から20年間(特約で最長30年まで延長可能)は、譲渡した事業と同一の事業を行ってはならないとされています。

一方、株式譲渡の場合は、法令での競業避止義務は課されていませんが、通常は株式譲渡契約でこれを定めています。

競業避止義務を課すのは、事業譲渡でも株式譲渡でも会社売却の場合、譲渡する側は、その地域での会社経営や事業活動を第三者の手に託したのですから、事業を承継した第三者の邪魔をせずに、その後の事業の成長・発展を見守ろうということです。

「社会的地位の喪失」とは、特に会社のオーナー兼経営者が多い中小企業の場合によく見られる現象ですね。これまで、取引先や社員から「社長」と呼ばれ、飲食代を会社の経費で落とすため領収書を切ることもできなくなり、地位と権限を失うことが、とても大きな喪失感となり、その寂しさは耐えられないほど大きいと言われています。

そのため、一定期間、権限のない会長や顧問という肩書をもらって、ある特定の会議のためだけ出席する…こんなケースも多くあるようです。

 

会社売却による株主への影響のまとめ

このように会社売却によって、得られるものと失うものがあります。ロックアップや事業活動の制限などによって、会社売却後のライフプランに狂いが生じることもありますので、会社売却によって前株主が受ける影響のメリット・デメリットの両方を理解したうえで、その後のライフプランを見比べながら、会社売却を実行するようにしていきましょう。

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鷹野 将和(株式会社八事財産コンサルティング 執行役員)

「グレートM&Aを増やす!」をミッションに、事業承継M&Aのアドバイザリー業務に従事。 「M&Aユーチューバー/タカノ」として、YouTubeを活用してM&A情報を提供している。