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【スモールM&A講座】困った時の表明保証!私道のみに面した土地がでてきたらM&Aの評価はどうする?」(2019/05/13 に公開)
【スモールM&A講座】困った時の表明保証!私道のみに面した土地がでてきたらM&Aの評価はどうする?
今日はですね、東京に来てまして、新橋に泊まっているんですけれども、明日、町田でM&Aの最終の契約書の説明をしてくる予定があるんです。
以前にも町田で撮影した動画を紹介したかもしれませんが、半年くらい前からお手伝いさせていただいている町田のM&A案件があります。
この案件は、あとは最終契約書を結んで、譲渡日を迎えるばかりになっています。
その中で、デューデリジェンスを実施してから、少し時間が掛かってたという現状があるのですが、何があったかと言うと、売り手さんの会社が私道のみに面している会社だったんですよね。
幹線道路から50~100mくらい中に入った突き当りに会社があって、そこまで続く道が私道ということなんです。
その私道についての調査や、問題点の洗い出し等に時間がかかってしまい、その調整に少し時間がかかりました。
では、私道だからどんな影響があるのでしょうか。
M&Aをする時の私道(位置指定道路)の影響
普段、その道路を利用することについては全く影響がないお話しなので、売主の社長さんも特に何も気にされていませんでした。
その私道は、私道の中でも
、「位置指定道路」と言って、私道だけども公道と同じ扱いをしますよと町田市が指定している道路だったんですよね。
だから、その道路が突然に使えなくなるとか、車が通れなくなるということはないので、基本的には問題ないという状況でした。
ただ、売り手さんは、その会社の土地を自己所有しているため、、将来的にもしも不動産を売却しなければならない場合は、現状の決算書に記載されている簿価での売却は難しく、「私道」のみに面しているという理由で、不動産としての評価が下がる可能性があるんです。
もしも不動産の価格が異なる可能性があるのであれば、結果的に決算書の貸借対照表の数値を時価修正することになり、結果的に売却金額にも影響があることが想定されていました。
では、私道のみに面している不動産の価値をどのように評価すればよいのでしょうか?
なるべく正確に評価したいということであれば、不動産鑑定士にお願いして、その不動産を鑑定してもらう必要があるなと当時は考えていました。
しかし、不動産鑑定を実施するとなると、1か月近く期間も伸びるし、その費用も発生します。
不動産の仲介会社さんにお願いして簡易的に評価してもらうことができなくもないのですが、その評価金額の客観性がどれだけのものかというと少し疑問が残ります。
では、どうするのがベストなのか、ということを検討していたので、少しだけ時間がかかってしまいました。
最終的にはどうなったのかというと。
まずは、私道のみに面しているからといっても、位置指定道路に指定されていることから、その会社の事業には全く影響はないという事実がありました。
そして、仮に不動産の価値が毀損していたとしても、1割か2割程度の毀損と想定できたため、M&A自体にはそれほど大きな影響はないという結論に達しました。
基本合意も完了し、デュ-デリジェンスもこの件を残すのみで、あとは最終契約に取り掛かる直前だったため、この時点から時間とお金をかけて不動産鑑定士に依頼するほどのことでもないという結論になりました。
お互いにこの事実は認識したうえで、将来的に何かしらの事情で私道の影響が発生した場合にはその時に相談するという前提で、現状ではM&Aの価格には反映させないということで一件落着です。
M&Aの最終契約には「表明保証」を!!
M&Aの最終契約書には、「表明保証」という項目が入ってくるのが一般的です。
どういった内容かというと、ある事実に対して、その事実が真実で正確であることを表明し、その内容を保証するものとなります。
今回の件についても、表明保証で対応することになりました。
もしかしたら、現在の価値を正しく評価して、価値が毀損した分を譲渡金額から減額するというやり方もあるのかもしれません。
今回の案件でも、買い手が金額を下げることのみを優先するのであれば、その方法もあったかもしれません。
しかしながら、買収後も売り手社長に残っていただき、事業運営のサポートをしてもらうことを前提に進めていた案件のため、多少の金額の前後よりも、売り手社長との関係性を重視するのが重要であるという結論となりました。
そもそも、該当の土地と建物は実際に事業を営んでいる製造拠点のため、買い手社長の頭の中にはこの不動産を売却するという考えは全くありません。
M&Aが単純に会社を売る買うという取引であればそれほど難しいことはないかと思うのですが、資料だけでは分からない事実が存在します。
その事実は、売り手が把握していることもあれば、全く気付いていないということもあります。
だからこそ、トップ面談をはじめとしたM&Aのプロセスや、デューデリジェンス等を通じて見えない問題点を洗い出していく必要があります。
しかも、洗い出しはその事業を引き継ぐ前に完了させる必要があります。
今回のケースのように、事前に問題点を洗い出すことができれば、そのリスクを許容するかしないかの判断をすることも可能です。
また、その際に活用できるのが「表明保証」という考え方です。
「表明保証」というのは一般的な契約書には記載されない条項となるため、M&Aの最終契約書の作成時には、M&Aに精通している弁護士さんに作成をしてもらうか、リーガルチェックをしてもらうのがおすすめです。
今日はM&Aの最終契約書の「表明保証」についてお話しさせていただきました。
もしも、M&Aの検討の際に「私道」や「表明保証」について質問があれば、お気軽にご相談ください。
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「グレートM&Aを増やす!」をミッションに、事業承継M&Aのアドバイザリー業務に従事。 「M&Aユーチューバー/タカノ」として、YouTubeを活用してM&A情報を提供している。