企業売却・事業売却の際には、売却先としてどの企業を選ぶのか、考える必要があります。
もちろん売却の打診を受けて1社を軸に進めるケースもありますが、よりよい条件を引き出すために複数社と売却のプロセスを進めることも多いです。
今回はそうした中で、どのように売却先選ぶべきかを見ていきましょう。
会社の売却先の選定のプロセス
まずは売却先選定のプロセスから見ていきましょう。
最初は売却先候補を探すところから始まります。
既に付き合いのある企業から全く知らない企業まで、NDAを結んで売却の意思を伝え、買収の意思があるか問うていきます。
既知でない企業に声をかける場合は、仲介企業に依頼する等することも多いです。
各社の買収意思を確認したら、次は初期提案を受領し、売却先候補の絞り込みを行います。
次の事業精査(デューデリジェンス)では、売却先候補が増えるほど負荷が増えるため、多くとも数社に絞る必要があります。
場合によってはこの時点で1社に絞り込み、他社をペンディングにします。
その後、売却先候補企業による事業精査が行われ、その結果をもとに各社の最終的な買収提案が提示されます。
各社の買収条件(価格、経営方針など)が出揃ったら、1社を選び、最終的な条件交渉に入ります。
売却先候補の企業の提示条件と自社の提示条件のギャップを明確にし、最終的な落としどころを探っていきます。
最終的に双方の合意が取れた条件を契約書に落とし、買収金額が支払われてクローズとなります。
会社の売却先の選定基準
とはいえ、買収先候補の絞り込みのタイミングでは、どういった基準で候補を選定すればよいのでしょうか。
大きくは、買収価格と経営方針、従業員の処遇などが論点になってきます。
まずは言わずもがな、買収金額です。売却するオーナーにとっても、従業員にとっても、買収金額は高いに越したことはありません。
次に経営方針です。買収後にどういった取り組みを行うかや、どういったポジションの人間を送り込むか等です。
また経営方針の一部でもありますが、従業員の処遇も大きなポイントです。
リストラを行うのか、その場合の規模やリストラ対象者の処遇をどうするかなどがテーマになります。
大切なことは、自社としてどのポイントを重視するかを明確にすることです。全ての要素で他を圧倒する候補が出てくればいいですが、たいていの場合は条件のデコボコが発生します。
その時に、売却額を重視するのか、事業の成長を描けることを重視するのか、雇用を重視するのか等によって、適切な候補は変わってくるのです。
おわりに
企業売却や事業売却においては、適切な売却先を見極めることが、自身や残される企業・従業員にとって極めて重要です。
事業売却を検討される際には、是非売却先にな機を期待するかを明確にして、交渉に当たっていただければと思います。
M&Aについて問合わせるThe following two tabs change content below.
「グレートM&Aを増やす!」をミッションに、事業承継M&Aのアドバイザリー業務に従事。 「M&Aユーチューバー/タカノ」として、YouTubeを活用してM&A情報を提供している。