「鷹野:」
どうですか?
特にこの10何年間のキャリアのなかで、この話は壮絶だったな、思い出に残ってるなみたいなのどうですか?
「磯村:」
本当にどれもというか。
「鷹野:」
確かに毎回皆さん経営者さんの人生をかけてじゃないですけど、それがそれこそ勇退なのであるでしょう。
僕もそうですもん。
1個1個すごい思い出ありますけど。
「磯村:」
本当にいろいろあるんですけど、最近でいいますと、これは書籍とかも出てるのでいいんですけど、破天荒フェニックスっていうAmazonランキングでもベストセラーみたいな形で出てるので皆さん、ご存じの方はいらっしゃるかもしれないですけど、オンデーズという会社の田中修治社長が書かれた本なんですけど。
「鷹野:」
ホリエモンチャンネルとかも出られてますよね?
「磯村:」
出られてるんですかね。
「鷹野:」
確か。
「磯村:」
その方が買収した会社ってのが、そのオンデーズが売却した事業があるんですけど。
「鷹野:」
オンデーズさんが譲ったってことですね?
「磯村:」
それのお手伝いさせてもらったっていうことがあって、それに関しては本でも書かれてるので、言っても大丈夫だと思うんですけど、なかなか面白いというかすごくスリリングな。
詳しくは本を。
「鷹野:」
詳しくは本でですね?
それは気になりますね。
「磯村:」
本に書いてあるんで。
面白い話になってるし、修治社長が買収した、買った事業を。
「鷹野:」
一度買った。
修治さんが買った事業を。
「磯村:」
買った事業を売却するときの。
「鷹野:」
売却するときのお手伝いですね。
「磯村:」
買うほうのアドバイザーとしてやらせていただいたんです。
「鷹野:」
買うほう?
「磯村:」
売るほうはその会社がやったんです。
「鷹野:」
オンデーズさんが自分たちが直で売却をしてて指示で買ったほうなんですね。
「磯村:」
買ったほうのお手伝いをさせてもらった。
「鷹野:」
そうなんですね。
「磯村:」
そこの話としては面白い話になりますので、いまだに言っちゃってあれなんですけど、Amazonで。
「鷹野:」
Amazonでポチっと。
「磯村:」
ポチっとしてもらって。
「鷹野:」
ポチっとしていただいて。
「磯村:」
別に、僕になにも入らないので、あれなんですけど。
「鷹野:」
そうですよね、そっか。
それは何年前ぐらいなんですか?
「磯村:」
だいたい10年ぐらい前。
「鷹野:」
かなり前ですね。
「磯村:」
本当にそれぐらい前です。
「鷹野:」
なぜ、それが心に残ってるんですか?
「磯村:」
金額としてもっていうのもありますし、田中さんが2億で買った事業を。
「鷹野:」
オンデーズさんがもともと2億で買収して。
「磯村:」
買収した事業を結果、200円で。
「鷹野:」
磯村さんのところが200円で買収するはめになったってことですね。
「磯村:」
っていう話なので、そこに関しては非常にいろいろな思いもあっただろうし
「鷹野:」
でしょうね。
「磯村:」
苦悩もあったでしょうし。
こちらは買い手さんの立場でこうしたいという思いもあったでしょうし、その衝突が初めてFAとしてアドバイザリーをしたのはその案件だったもんですから、仲介とは違う意味ですごく勉強になったというか、そこで僕は勇退とういうのを考えるきっかけになったっていうか、買い手の立場で考えたら安ければ安い方がいいんだろうなと。
「鷹野:」
そうでしょうね。
それもあるでしょうね。
「磯村:」
そういうので対応していったんですけど、そこで売り手さんの財務担当の奥野さんって方がいるんですけど、その方にお叱りを受けまして、磯村さんがいるからこの案件がおかしなことになってると。
要望がきつく言いすぎてて、当然こちらは良かれと思ってても買い手さんの立場て考えて良かれと思って行動してたんで、そこに関して間違いではないとは思うんですけど、売り手さんの立場を考えると身を削ぐ思いで事業を譲り渡すっていうところに対する配慮が欠けてたんじゃないのかな、そこがお叱りを受けることになったんだなというふうに考えさせられて、仮にFAだっとしても相手の立場を考えて、言葉の使い方だったりだとか進め方だったりだとかそういったところを配慮しないと、結局人と人とのコミュニケーションの話なのでそこがうまくいかなかったら。
「鷹野:」
そもそも成立しないかもっていうとこですよね。
「磯村:」
そもそも契約自体が成立しないということもあり得たと思うので、たまたま最終的にM&Aとしては成立して良かったんですけど、そのやり方が良かったのかっていうのをすごく考えるきっかけになったのでそこが思い出に残るというのか、スキニングじゃないよっていうところでどういう進め方がいいのかとか、この発言をしたらどう思うのかっていうのを考えさせられたっていう感じです。
「鷹野:」
痛いほどその気持ち分かりますね。
日々胃が痛くなるようなアドバイザーならではの悩みみたいな感じですよね。
分かります。
「磯村:」
そこが本当にすごく反省したんです。
「鷹野:」
そういうことですね。
「磯村:」
M&A成功したから良かったんですけど、本当にこのやり方で良かったのかとかもんもんとしながら考えてそこからすぐには答えが出てこなかったんですけど、結果自分のなかでひとつの答えが売買金額いくらで、売り手さんは高く売りたい買い手さんは安く買いたいっていうところでやってたら利害が対立するだけだから、そうじゃなくてこの事業にとって、どういう形がベストなのかなとかいい形になるんだろう同じベクトルで考える人は誰なんだろうっていうのを考えるのをお手伝いする役割であれば、それだったらみんなが同じ方向を見て話ができるのでコミュニケーションが成り立つんですけど、高く売りたいから安く買いたいだとガキの使いみたいな感じでそこ行ったり来たりするだけなので。
「鷹野:」
まあ、そうですね。
「磯村:」
それは要素としてあればいい、M&A要素としてはあれですけど、そこじゃなくてええよここ軸なると、売るほうも伸びるし買うほうも伸びるよねって話であれば。
「鷹野:」
それが一番いいですね。
「磯村:」
そのほうが気持ち良くできるし、そこのお手伝いができるっていう意味においては、そういうタイプのそういう売るほうにとって、この後継者の方に託したら会社がハッピーになるよっていうことは、社長にとっての勇退じゃないのというところが理解していただける方であれば、みんなが気持ち良く仕事ができるのかなっていうので、その言葉にこだわりを持ってやってるっていうその看板を掲げてるからこそ、それじゃない行動はできないなっていうのを自分の戒めとして考えてる。
それは仲介とかFAとか関係なしに、そういう気持ちでやらないとおかしくなっちゃうって、そこの戒めです。
自分も完全にできてるかっていうと、そうじゃない部分も。
「鷹野:」
もちろんそういうときもあるでしょう、お仕事ですから。
でも、ひとつ勇退っていう方向に方向が固まったきっかけっていうのが、オンデーズさんの案件だったという感じのところですね。
「磯村:」
そうです。
「鷹野:」
本当にぜひ本のほうは、読んでみるべきですね。
「磯村:」
本当に物語としても下町ロケットみたいな感じで面白いんですけど、M&Aやられる方は、もうオンデーズ自体がもともと会社を買ってっていうところからスタートしてるし、いろいろな会社を買ったりとか海外進出したりとか、その後、人をどうやって使うみたいなというところも資金繰りもそのときこんなに窮してたんだよとか、こんな状態でここを買収していいのだろうかみたいな本当に赤裸々に資金繰りのところまで書いてある本って見たことないので、これはM&Aに関わる人経営者の方はぜひ読んでもらったほうがいいんじゃないかというふうに思ってます。
「鷹野:」
分かりました。ありがとうございます。
「磯村:」
ありがとうございます。
「鷹野:」
いったんここでおしまいにさせていただければと思いますので、また引き続きお話を聞ければと思いますが、今日もM&Aネクストをご視聴いただきありがとうございます。