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倒産しますか?生き残りますか??債務超過の会社でもM&Aで売却できるのか。」(2019/02/13 に公開)
倒産しますか?生き残りますか??債務超過の会社でもM&Aで売却できるのか。
よくいただく質問の中に、「債務超過の会社でもM&Aで売却できるのか?」という質問があります。
ということで、今回は債務超過の会社のM&Aについてお伝えさせていただきます。
まず、債務超過とはどういう会社かというと、会社の決算書の貸借対照表、B/S(バランスシート)で確認することができます。
貸借対照表の資産と負債を比べて、資産より負債の方が多い会社が債務超過と言われています。
簡単に説明すると、資産というのは現金や土地のような、プラスの資産のことです。
それに対して、負債というのはマイナスの資産のことですね。
例えば、銀行からの借入金、社長の役員借入金、買掛金などの、お金を支払わなければならないものを負債と呼んでいます。
そして、資産と負債を比べてみて、プラスが多ければ資産超過、マイナスが多ければ債務超過ということになります。
また、よく赤字と債務超過が混同してしまっている方がいるのですが、赤字と債務超過とは全く別のお話です。
赤字というのは、商売の中で利益が出ていない状態のことですので、損益計算書で確認ができます。
債務超過というのは、現在の会社の資産状況のことなので、仮に今期1億円の赤字が発生したとしても、債務超過になるかどうかは全くの別問題です。
基本的には、赤字と債務超過っていうのは全く別物という風に考えて頂ければと思います。
債務超過の会社でも売却できますか?
次は、債務超過の会社を売却できるのかについて考えていきましょう。
結論からお話すると、債務超過でも売却できる可能性は十分にあります。もちろん、債務超過の状況次第ではありますが。。。
債務超過の会社を売却できるには、以下のような理由が考えられます。
既存顧客の取引口座
一つ目の理由は既存顧客の取引口座です。
もしも債務超過であったとしても、非常に良い取引先の口座を持っているとか。昔からつきあいで、大企業と直接取引できる口座を持っている場合だと、債務超過の会社でも売却できる可能性が高まります。
弊社は愛知県の名古屋市にありますので、トヨタの影響もあり自動車関係の会社が非常に多いです。
例えば、昔から取引をしている関係で、直接トヨタと取引ができる会社であれば、非常に貴重だと言えるでしょう。
もしも、新たに自動車関連の製造業を始めようとしたとしても、トヨタ自動車と直接口座を開くというのは難しそうですよね?
だから、債務超過の会社であっても、その取引先との口座が評価されれば、売却の対象となる可能性が十分にあります。
特殊な許認可
二つ目の理由は特別な許認可です。
例えば、高齢者向けのグループホームであれば、地域によって地方自治体等で整備計画数が定められているため、新たに開設したくても勝手に設置することはできません。
その場合、新たに始めるのであればM&Aで買収することになります。
また、産業廃棄物の処分場なども許認可がおりづらいため、売却対象となる可能性が高いです。
もしも貴重な許認可等をお持ちの会社であれば、その許認可の内容によっては、債務超過の会社であっても良い条件で売却できるかもしれないですね。
債務超過だといくらで売却できるの?ゼロ円で売るメリットは?
「債務超過の会社はいくらで売却できますか?」という質問もよくいただくのですが、その会社の状況にもよりますが、高額にはなりづらいです。
基本的に債務超過の会社の価値はゼロ円以下のマイナス状態ですので、そのまま売却金額に反映されることが多いです。
債務超過ということは、仮に今、会社を清算するのであれば返済原資がなければ倒産させなければならない状態です。
そう考えると売却金額をつけることは非常に難しく、その場合、0円とか1円とか、1株1円とか、限りなく0円に近い状態で売却されることがあります。
そんな金額で売却して売り手にメリットはあるの?と思われる方もいるかもしれませんが、限りなく0円に近い金額であっても売却することが重要な意味を持つことがあります。
例えば、金融機関からの借入金が残っている場合がいい例です。
銀行や信用金庫などの金融機関からの借入金に対して、経営者が経営者が個人で連帯保証人になっているケースが多く見受けられます。
会社を経営していると、数千万円から数億円の借入金があるということは一般的です。
その借入金の連帯保証人になっているということは、もし会社を倒産させてしまうと、社長個人で借入金を返済するか、最悪の場合は自己破産を選択することになります。
会社を倒産させるのはいたしかたないかもしれませんが、個人の自己破産は避けたいという方は非常に多いです。
個人の生活のこともあるし、世間体もあるし、自宅も差し押さえられてしまうため、生活がガラリと変わってしまうことになります。
だから、例え会社を0円に近い状態で売却したとしても、次の経営者がその連帯保証を引き継いでくれる、現在の連帯保証を解除してくれるという条件であれば、ゼロ円でもいいから譲りたいと考えるのも当然のことと言えるでしょう。
どんな会社なら債務超過でも売却できるのか?
では、どんな会社なら債務超過であっても売却ができるのでしょうか?
債務超過で恒常的に赤字の会社で、特殊な許認可や取引先口座をもっていない場合は、売却の可能性は非常に低いと言えるでしょう。
やはり、債務超過であっても、営業利益が黒字の会社が望ましいと言えます。
営業利益というのは本業の業績を表す数字なので、債務超過であっても営業利益が黒字かどうかが大きなポイントとなります。
また、従業員の有無も非常に重要です。
もしも社長1名とパートだけで運営していたり、社長や従業員が高齢の会社の場合、事業を引き継いだ後の人材問題が発生することになります。
そもそも、社長が最前線で活躍しているような会社の場合、売却後に社長がいなくなった瞬間に事業が回らなくなってしまう可能性があります。
また、従業員が高齢の方ばかりだと、すぐに引退する可能性が高く人材確保と育成問題が考えられるため、売却しづらいかもしれません。
債務超過の会社を売却するためには?
もしも、いま現在、債務超過で恒常的に赤字の会社でできることは、ともかく黒字にすることです。
経費を削減するのも一つの手かもしれないですし、新たな方向性を探ってみるのも有効と言えます。
また、金融機関と借入金の条件について交渉するというのも非常に大事です。
仕事柄、法人の決算書を拝見する機会が多いのですが、金融機関と話し合いができていれば、もっと返済負担を減らすことができるなと感じる会社はとても多いのです。
金融機関の営業マンが、自ら条件が悪くなるような提案をしてくることは、ほとんどありません。
だからこそ、月々の返済額を減らしたり、借入金をまとめたり、他行の借入金も一本化したりと、金融機関に相談してみることが非常に有用なのです。
もしも、追加融資を受けることができないのであれば、すぐにでもリスケを検討してみてください。
リスケというのは。返済条件を見直すことで、返済額の全額もしくは一部を見直すことです。
リスケは嫌だと思われている経営者も多いのですが、追加融資を受けられないのであれば、将来的に倒産する可能性も高まります。
例えば、毎月30万円返済していて、それを全額ストップして、30万円を払わなくていいということは、年間で360万円を借りるのと同じような事になりますよね?
ただ、リスケをして、単純に支払いを先延ばしにして1年後に何にも状況が変わらず、再度リスケをお願いするようなことでは意味がありません。
会社の数字をしっかり把握して月次の試算表で検証していくことが重要です。
もしも債務超過の会社の売却でお困りの方がいらっしゃいましたら、下記よりご相談をお願いいたします。
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「グレートM&Aを増やす!」をミッションに、事業承継M&Aのアドバイザリー業務に従事。 「M&Aユーチューバー/タカノ」として、YouTubeを活用してM&A情報を提供している。