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【スモールM&A講座】会社の買収金額が分かりません!!スモールM&Aの買取価格の決め方。純資産・営業権って何なのさ?」(2019/03/25 に公開)
会社の買収金額の計算方法について。純資産・営業権の解説
皆さん、こんにちは。
M&Aユーチューバーの鷹野です。
今日は、M&Aで会社を買収する時にいくらで買えばいいのか、についてお話ししていきます。
私は規模のあまり大きくない会社のM&A、「スモールM&A」のお手伝いをさせて頂く事が多いので、今回は、スモールM&Aの買い手さんを想定したお話しになっています。
実際には、会社の買収金額は、その案件によっても異なるので、一概に言うことは難しいです。
売り手さんと買い手さんでは希望金額が異なるのは当然のことなので、「絶対にこの金額が正しい。」と決めつけるようなことは非常に難しいです。
例えばの話しですが、上場会社の株式であれば、株価が公開されているため分かりやすいですよね。
株価×株数で具体的な金額を提示することができるため、お互いに納得感もあります。
しかしながら、非上場の中小企業の場合、公開されている株価が存在しないため、自分たちで金額を決めていく必要があるんです。
本当に極端なお話しをすれば、相対取引にあたるので、売り手さんが「1億円でお願いします」と言って、買い手さんが「1億円で買います」とお互いに納得すれば、それでOKなんです。
ただ、親族間での取引の場合は異なるので注意が必要ですけどね。
親族ではなく第三者の方に会社を譲る、また第三者が会社を譲り受ける場合については、お互い納得すればいくらでも構わないわけです。
ただ、お互いに希望金額を伝えるだけでは取引が進まないと思いますので、根拠のある・納得感のある金額が必要になってきます。
特に私たちのようなM&Aアドバイザーがお手伝いしている場合は、何かしらの根拠がある金額になっているのではないかなと思います。
もちろん、そうじゃない場合もありますけどね。。。
根拠のある数字で買収金額を決める
例えば、中小企業のスモールM&Aの場合は、「純資産法」という評価方法が使われることが多いです。
会社の決算書の貸借対照表の純資産の部と、その会社の収益力から計算するような方法です。
実際には純資産を時価に修正した時価純資産を使っていくことになるのですが、スモールM&Aではこの評価方法を使う場合が多いのではないかなと思います。
純資産というのは、その会社のプラスの資産(現金や不動産など)とマイナスの資産(借入金や買掛金など)を合計した会社の資産状況を表しています。
営業権というのは、その会社の収益力のことなので、営業利益+減価償却費から計算されることが多いです。
評価金額が必ず正しいというわけではないのですが、根拠のある金額があるとお互いにお話しがしやすいですよね。
根拠のない金額での交渉になってしまうと、「高い」とか「安い」とかの感情論で交渉しなければならないので、話しが進みづらいです。
M&Aの「時価純資産」について
実際に純資産について見ていきましょう。
決算書の貸借対照表の左側に記載されているのが資産ですよね。
資産というのは、現金や不動産や売掛金のような「プラスの資産」と呼ばれるものです。
それに対して、右側に記載されているのが負債です。
負債というのは、借入金だとか買掛金だとか、将来的に支払わなければならない「マイナスの資産」のことです。
このプラスの資産とマイナスの資産を相殺した場合に、資産が残るのか債務が残るのかを表すのが「純資産」ということになります。
純資産がプラスであれば会社を清算してもお金が残る、純資産がマイナスであればお金は残らない。
むしろ、残った借入金等を返済する必要があるかもしれませんね。
ただし、決算書に記載されている数字が必ずしも正しい数字とは言えません。
実際には、決算書に記載された純資産を「時価純資産」に修正しなければならないのです。
例えば、かなり昔に買った不動産があるとすれば、実際には大幅に値下がりしている可能性もあります。
実際に売却したらいくらになるのか、つまり時価に修正をすることになります。
あとは、売掛金なんかも時価修正の対象になる場合が多いです。
数年に渡って売掛金が回収できていなくて、今後も回収の見込みがない売掛金が含まれている場合があるのですが、こういった金額についても不良債権ということで、減額して評価が必要になります。
こういった時価に修正した「時価純資産」をベースにして買収金額を評価していくことになります。
ただ、本当に初期の段階では、時価純資産に修正することは難しいと思いますので、概要を把握するために。簿価の純資産だけでも把握していくことが重要だと思います。
M&Aの「営業権」について
次に、営業権について見ていきたいと思います。
営業権というのは、その会社の収益力を指すことが多いです。
そのため、損益計算書の営業利益に減価償却費を加えて計算することがあります。
減価償却費についておさらいですが、減価償却費というのは、過去に買った設備なんかの費用を、その耐用年数に応じて経費化した数字になっています。
つまり、その年に支払ったお金ではないけれども、経費として計上しているということになります。
ということは、本来であれば減価償却費は、その年の収益力とみなすことができるので、営業利益に減価償却費を加えることになります。
また、中小企業の場合は、「税金を払うくらいであれば役員報酬を高めにしておこう」と考える経営者も多く、必要以上に高く支払っている役員報酬なんかも営業権に加えるあります。
純資産法は買収金額の目安でしかありません
もしもM&Aの売り手とお話しをされるときは、可能であれば、決算報告書を三年分お借りしてみてください。
一年だけだと判断がしづらいのですが、三年分の資料を取得して頂くと、純資産法である程度の買収金額を計算することができると思います。
私の場合ですと、5年分くらいの資料をいただくこともありますし、過去の業績の流れを見させていただくために、10年分ほどの資料を見せていただくこともあります。
しかし、初期段階としては、まずは三年分の決算報告書で検討する程度が妥当なところでしょう。
ただ、純資産法で買収金額を計算したとしても、あくまでもこの買収金額は目安にしかならないのも事実なんです。
例えば、純資産法である会社の買収金額を評価してみたら1億円だったとします。
でも、売主さんがこの金額に納得できず、「3億円でしか売らない!」と言い始めたら何ともならないという面もあります。
だから、交渉をスタートする際に、売主が買収金額についてどのように考えているかをある程度把握しておく必要があるかもしれないですね。
全く金額を譲歩する気が無い人もいれば、適正な評価であれば受け入れていただける方もいらっしゃいます。
ぜひ、M&Aの際の知識の一つとして、「純資産法」という買収金額の評価方法があるということを知っていただき、客観的に評価をしながら売り手さんと交渉していただければと思います。
買収金額の評価方法について詳しく知りたい方は、下記よりお問合せをお願いいたします。
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