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会社売却とは

会社売却とは

「会社売却」とは、会社の有形・無形の資産を第三者に譲り渡し、その対価を受け取るものですが、会社のありのままを変えることなく、第三者に受け継いでもらえるという特徴があり、このため、さまざまな目的で活用されるようになってきました。

こちらでは会社売却の意味と種類、さらには買収の目的と役割について、会社売却の事例も交えて解説してまいります!

 

会社売却とは何か?

会社売却とは、会社が持っているすべての財産や、さまざまな権利・義務を第三者に譲り渡し、売却先の他社からその対価を受け取るものです。

財産には現預金、株式、営業用資産のほか知的財産やノウハウなどの無形資産が含まれ、これに加えて取引先との関係、従業員の雇用などの契約関係に伴う権利・義務も譲渡の対象となります。

 

なぜ会社売却が増加しているのか?

会社売却の方法としてはM&A(Mergers & Acquisitions、「合併と買収」)が活用されており、(株)レコフデータによると、M&Aの件数は2017年に3,050件と過去最高の件数を記録するなどM&Aの件数は増加しています。

その理由として、M&A仲介会社が中小企業の事業承継のために積極的に中小企業の会社売却を支援していることがその背景にあります。

「参考:MARR ONLINE([M&A回顧]2018年2月特大号280号(2018/01/19)) 2017年のM&A回顧

 

会社売却の意味

2016年に公表された日本政策金融公庫総合研究所のデータでは、中小企業・個人事業主のおよそ半数が廃業予定であり、このうち約3割が後継者不足を理由に挙げています。

また、これら廃業予定企業のうち約3割が同業他社よりも好業績であり、約4割が今後10年間の将来性を少なくとも現状維持であると回答しているのです。

つまり、中小企業・個人事業主の半数に当たる廃業予定企業の約7割(全体の約35%)が、黒字経営や将来性豊かな企業であるのです。

もし、これらの企業が廃業すれば、多くの取引が解消され、多くの従業員の雇用が奪われ、貴重な技術・ノウハウ、文化や伝統も失われてしまいます。

そうした悲劇を回避する方法として、会社をそのまま第三者に受け渡す会社売却が活用されているのです。

「参考:「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」の概要(中小企業経営者の2人に1人が自分の代で廃業を予定)

 

会社売却の種類

会社売却における代表的なスキームには次の2つがあります。
  1. 株式譲渡
  2. 事業譲渡
「株式譲渡」とは、会社の株式を第三者に売却することで、その第三者に経営権を譲り渡し、その対価を得るものです。

「事業譲渡」とは、会社の事業の一部または全部を第三者に売却することで、その第三者に事業の運営そのものを譲り渡し、その対価を得るものです。

このほか、会社の組織再編手法としての「会社分割」や「合併」もありますが、会社売却と言った場合、株式譲渡または事業譲渡の手法のいずれかが活用されるケースが多くなります。

 

会社売却の目的と役割

株式譲渡の特徴は、会社そのものを切り売りせず、現在の会社をそのまま次代の経営者に受け継いでもらえるということ。

廃業によって失われる多くの取引や従業員の雇用を維持し、受け継がれてきた貴重な技術・ノウハウ、文化、伝統をそのままに次代の経営者に引き渡すという目的があります。

一方、事業譲渡の特徴とは、会社の事業を全部または一部を譲渡するため、対象となる事業に関する権利と義務を取引単位で個別に譲渡するので、買い手側としては、不良債権や過剰な負債などを受け継ぐことなく、必要な資産を選別して譲り受けることができるという点。

特定の事業に関して、廃業されることで失われる多くの取引や従業員の雇用を維持される約束はありませんが、これまでに受け継がれてきた貴重な技術・ノウハウ、文化、伝統を次代の経営者に引き渡して事業そのものを再生させるという目的があるのです。

このように、会社売却とは、創業者や現経営者と未来の経営者とをつなぐ橋渡しの役割を担っているのです。

 

会社売却の具体的事例は?

こちらでは、日本企業による代表的な会社売却事例をご紹介しましょう。

 

会社売却事例①―日本たばこ産業株式会社(JT)のM&A―

国際的かつ大規模にM&Aを実施して成功した事例として、JTの買収例があります。

JTは、1999年に米RJRナビスコの米国以外の地域のたばこ事業を、2007年にはイギリスのギャラハーをM&Aによって獲得しました。

これによって、JTは、海外の既存のタバコ事業を獲得でき、既存タバコのブランド力やノウハウ、販売チャネルを共有し、製造・販売コストの削減や新たな技術の取得といったシナジー効果を得ることができました。

 

会社売却事例②―武田薬品工業によるアイルランド製薬会社シャイアー買収―

2018(平成30)年に行われたM&Aで最も注目されたのが、武田薬品工業によるアイルランドの製薬会社であるシャイアーの買収事例です。

この事例では買収額は768億ドル(当時のレートで約6.8兆円)にも上り、これで武田薬品工業は、新薬の開発や営業面での規模の拡大というシナジー効果が得られると見込んでいます。

 

会社売却のメリット・デメリットとは?

会社売却には、売り手側の買い手側それぞれにメリットがあり、デメリットがあります。こちらでは、会社売却のメリット・デメリットを紹介します。

 

会社売却のメリット

会社売却のメリットには次のようなものがあります。
  1. 規模の経済性の実現
  2. 事業の多角化
  3. 新規事業への参入
  4. 既存事業の競争力強化
  5. 廃業・倒産の回避
  6. 創業者利益の獲得
「規模の経済性の実現」とは、現預金や不動産といった有形な資産のみならず、技術、ノウハウ、知的財産、取引先や流通チャネルなど無形な資産を得ることで、既存の事業規模を拡大して、営業力や交渉力、開発力などが向上し、企業競争力が高められるというものです。

「事業の多角化」とは、事業環境の激化などに備えて新たな事業分野に参入することや、生産・流通工程のバリューチェーン化の実現によって、経営体質の強化を図るものです。

「新規事業への参入」とは、自社にない事業に参入している会社の買収によって、新たな事業の開始に伴う時間・工数・コストを抑制するなど、新規事業参入のリスク軽減を図るものです。

「既存事業の競争力強化」とは、自社にない技術を持っている会社の買収によって、新たな技術を容易に手に入れ、既存事業の強化を図るものです。

「廃業の回避」とは、現経営者の高齢化や後継者不足によって廃業を検討している企業が、会社買収によって信頼できる次代の経営者に会社そのものを託すことで、廃業による悲劇を回避できるものです。

「創業者利益の獲得」とは、売り手側の創業者が、会社売却によってまとまった資金を手に入れ、それを元手に新たな事業を始めたり、第二の人生を謳歌したりできるようになります。

 

会社売却のデメリット

会社売却には、売り手側、買い手側それぞれにおいてデメリットがあります。

売り手側のデメリットは、会社売却によって取引先から取引を中止されたり、従業員が離職したりすること、会社売却の対価が想定よりも低くなってしまうことなどがあります。

また、事業譲渡においては、不良債権や過剰な負債は承継されないことが多いので、売り手側としては、譲渡代金などを原資にこれらを清算する必要があります。

買い手側のデメリットは、株式譲渡では、対象となる企業の債権・債務をそのまま承継すること(包括承継)になるため、簿外債務・偶発債務を受け継いでしまったり、対象企業の融合に手間取り、思ったようなシナジーを発揮できなくなったり、会社売却に批判的な取引先や従業員の離反を招き、会社の事業価値を損なってしまうことがあります。

 

会社売却のまとめ

会社売却は、現在の会社をそのまま第三者に引き継ぐことができるため、容易に、かつ、迅速に会社を手に入れることができますが、売り手側にとっても買い手側にとっても、さまざまなデメリットがあるのも事実です。

会社売却においては、事前の準備をしっかりと行い、メリット・デメリットを見極めて意思決定を行い、計画的に実施することが成功につながるものであることを覚えておきましょう。

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鷹野 将和(株式会社八事財産コンサルティング 執行役員)

「グレートM&Aを増やす!」をミッションに、事業承継M&Aのアドバイザリー業務に従事。 「M&Aユーチューバー/タカノ」として、YouTubeを活用してM&A情報を提供している。